相続で思わぬ所有をしてしまった山林の管理 山林 相続
- こうご行政書士事務所
- 5月2日
- 読了時間: 4分
前回「相続した空き家や山林、処分に困ったら?安全に手放すための3つの方法」という記事を書きました。
今回は、山林を所有しているが管理できていないまま放置されている方や山林を相続してしまい困っている方に向けた内容です。

目次山林 相続
山林の相続と所有の「見えない問題」
所有者不明の山林が招くリスク
なぜ山林の管理が進まないのか
山林の相続で起こりやすいトラブル
国や自治体の新たな取り組みとは?
今から始める具体的な対策
まとめ:山林の未来を守るために今できること
1. 山林の相続と所有の「見えない問題」
あなたのご家族が山林を所有していませんか?「祖父の代から持っているらしい」「場所も境界もわからない」——そんな声を多く聞きます。
実は、日本の山林の約3割は50年以上登記がされておらず、所有者不明の状態にあります。とくに、団塊の世代が後期高齢期に入り、相続が一気に増える今後、この問題はさらに深刻化します。
2. 所有者不明の山林が招くリスク
相続登記がされないまま放置された山林には、次のようなリスクがあります。
土砂災害の発生リスク:手入れがされていないことで倒木や崩落が起きやすくなります。
災害対策が進まない:行政は所有者や相続人の同意がなければ伐採や整備ができません。
隣接地とのトラブル:曖昧な境界線のせいで、隣の森林所有者と合意が得られず整備が進みません。
つまり、山林の所有者がはっきりしないことで、自分の土地が地域のリスクになってしまうのです。
3. なぜ山林の管理が進まないのか
原因は明確です。それは、**「登記がされていない」「何代にもわたり名義が変わっていない」**こと。
昭和時代、相続登記は義務ではなかったため、親から子へ口頭で「お前が引き継げ」と言ってそのまま放置されているケースが多くあります。
結果として、代替わりが重なることで、相続人の数が増え、連絡が取れず特定も困難になります。
4. 山林の相続で起こりやすいトラブル
山林相続においては、次のようなトラブルが頻出します:
相続人が多数いて連絡が取れない
「山林はいらない」と全員が放棄してしまう
固定資産税だけが毎年課税される
売却も管理委託もできない
さらに、境界線が不明瞭な場合、隣接地所有者との協議が必要ですが、そこでも「相手が不明」という行き詰まりが発生します。
5. 国や自治体の新たな取り組みとは?
この状況を受けて、国(林野庁)は2019年度から、所有者が経営できない山林を役所が代わりに管理できる制度「森林経営管理制度」を整備しました。
これを活用すると、
自治体が所有者に代わって管理や伐採を実施
管理費用の補助や伐採支援の制度あり
相続人が見つかれば、登記を促して支援制度へ誘導
という対応が可能になります。
現在、全国で約400の市町村がこの制度を活用しています。
森林経営管理制度の概要PDF(林野庁)
東京都でも司法書士、税理士と連携をとり法定相続人を調査。
やっかいな境界線の確定も仲介する考えのようです。
日経新聞2025.5.2「未登記森林 所有者特定へ」
6. 今から始める具体的な対策
● 所有する山林の場所を把握する
市役所や法務局で「固定資産課税台帳」や「登記簿謄本」を取り寄せ、自分や親族がどんな山林を所有しているかを確認しましょう。
● 相続登記を進める
2024年から、相続登記は義務化されました。正当な理由なく3年以内に登記しないと10万円以下の過料が課されることがあります。
司法書士に相談すれば、遺産分割協議書の作成から登記までスムーズに進みます。
7. まとめ:山林の未来を守るために今できること
山林の相続を放置すると、地域のリスクになりかねません。
所有者不明の土地問題は、今や国全体の課題です。
登記の確認、相続手続きの着手、境界調査など、今から始められることがあります。
必要に応じて、司法書士・税理士・行政書士などの専門家に相談しましょう。
📌 最後に
「負動産」になる前に。
あなたの世代で終わらせず、次世代へ正しく引き継ぐための行動を、今日から始めてみませんか?
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