実家に帰省して気づいた、親の終活。 ~「特に何もしていない」から始める、任意後見と遺言書の話~
- こうご行政書士事務所
- 4月7日
- 読了時間: 4分
更新日:4月29日
先日、去年の夏ぶりに帰省しました。

ちょうど桜が満開で、観光客も多く、にぎやかな春の風景。変わらない町並みにほっとする一方で、年老いた両親の姿にふと立ち止まりました。
父は80歳、母は78歳。「終活」についてどう考えているのか意見を聞いてみようと思いました。
返ってきたのはこんな言葉でした。
・「うちは家くらいしか財産もないし、遺言書なんて大げさなものは要らないよ」
・「それより、お墓のことがちょっと心配かな」
・「それに、もしどちらかが認知症になったり、一人になってからそうなったら…とは思うけど、みんなそんなものでしょ。特に何かはしていないよ」
そんなふうに笑っていた両親ですが、ある話をした瞬間、母の表情が変わりました。
それは「父がもし先に認知症になったら、預金がロックされてしまう」ということ。つまり、日々の生活費や医療費が必要になっても、母ひとりでは父の通帳からお金をおろすことも、契約を結ぶこともできなくなる、という現実です。
「えっ、家族なのに?お父さんの通帳でお金おろせないの?」
驚いた母に、私は続けました。
「うん、認知症になると『本人の判断能力がない』って判断されて、銀行口座が凍結されることがあるんだよ。そうなると、家庭裁判所に申し立てて『法定後見人』をつけないと、財産が動かせないの」「でもそれって結構大変で、誰が後見人になるかも家族で決められないし、毎年、裁判所に報告もしないといけないんだよ」
すると、今まで他人事のように話していた母の目がスッと変わりました。
このとき、私が本当に伝えたかったのは「今ならまだ、備えができる」ということです。その方法のひとつが任意後見契約。
「認知症になったら心配」だからこそ任意後見親の終活 任意後見 遺言書
認知症になると、預金の管理や契約行為が一人ではできなくなります。そうなってからでは、家族が代理で財産を動かすことが困難になります。
このような事態に備えるのが「任意後見制度」です。
元気なうちに、「自分が認知症などで判断できなくなったときは、この人にお願いしたい」と、あらかじめ契約をしておく仕組みです。法定後見と違って、誰に任せるかを自分で選べるし、家庭裁判所の関与も最小限です。
私たちの親世代は、何もかも「なんとかなる」と思っていることが多いです。でも、その「なんとかならない事態」が突然訪れるのが、認知症の怖いところ。
「うちは家しかないから大げさ」ではなく、家があるからこそ遺言書
遺言書は大金持ちのためのもの、と思われがちですが、むしろ不動産が一つだけある家庭こそ、遺言書が役立ちます。
たとえば実家の家を兄弟姉妹のうち誰が相続するか、売却して分けるか──そうした判断は残された家族の間でトラブルの火種になります。
「この家は◯◯に相続させたい」「売らずに住み続けてほしい」そんな親の思いを形にできるのが遺言書です。
まとめ:今は元気でも、備えることで家族の安心につながる
今回の帰省で、両親と話してよかったと感じています。終活は「何かあったとき」のためではなく、「今、何もないうちにできること」をする活動。
遺言書も任意後見も、「親が心配」な世代が一歩踏み出して提案することが第一歩です。
また、本人に判断能力があるうちに取り組まないと効力はありません。「まだ早いかな」「元気だし大丈夫そう」そんな気持ちを乗り越えて、ぜひ一度話してみてください。親のために見えて、実は家族みんなの未来のためになることなのです。
親の将来の安心のために、そして家族が困らないために、「今ならまだできること」を一緒に考えてみませんか?
以上、実家に帰省して気づいた、親の終活。 ~「特に何もしていない」から始める、任意後見と遺言書の話~でした。親の終活 任意後見 遺言書
こうご行政書士事務所では終活支援をしています。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
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